[シンポジウム 12/6&7] 北東アジアにおける核戦争?: 早期警戒・リスク削減・非核化
2024-11-01カテゴリ: News
北東アジアにおける核戦争?: 早期警戒・リスク削減・非核化
第44回ICU社会科学研究所・上智大学グローバル・
概要
21世紀の北東アジアは、20世紀初頭のヨーロッパの足跡をたどっているのだろうか。ヨーロッパの指導者たちが「攻撃は最大の防御である」と信じ、その信念に自らの軍事戦略を合わせたように、北東アジアにおける主要国政府も、敵の攻撃力が使用される前に無力化できると信じ、捉えどころのない先制攻撃能力の獲得を競っている。1914年にサラエボでフェルディナンド大公が暗殺され、ヨーロッパの火薬庫に火がつき第一次世界大戦に突入したように、台湾海峡や朝鮮半島で事件が起きれば、誰もコントロールできない複雑な連鎖反応が起こり、誰も望まない結果になるのだろうか。北東アジアの未来が、ヨーロッパの過去のようになるのを防ぐために、この地域の政府と市民社会が取りうる対策は何か。
2022年、北朝鮮の立法機関は「核による先制攻撃」を合法化するという、大胆かつとても不安定な一歩を踏み出し、日本の岸田内閣は安全保障政策文書の中で、「反撃能力」と呼ばれる、日本への攻撃に使われる前に敵基地を攻撃する軍事能力を追求するという、同じく不安定な目標を掲げた。先制攻撃能力の独自バージョンを長年追求してきたアメリカは、北朝鮮の脆弱性と海峡を挟んだ軍事バランスの変化に合わせて戦略を「調整」している。中国は核戦力を拡大しているだけでなく、開発・配備されているミサイル防衛システムを制圧・無力化する非核戦力も開発している。韓国は1970年代から北の軍事費を凌駕しており、近年では10倍にもなっているが、最近は北の攻撃能力を先制的に「殺傷」し、その指導部を「断絶」するための「3軸システム」の開発が急務であると強調している。本シンポジウムでは、「絡み合う安全保障のジレンマ」と「拡大する安全保障のジレンマ」という概念を精緻化し、先制攻撃能力をめぐる地域全体の軍拡競争と地域における偶発的戦争の危険性を示すこれらの動きをよりよく理解する。
こうした動きが緊張をさらに高め、戦争へとエスカレートするのを防ぐためには、どうすればよいのか。本シンポジウムでは、アジア太平洋地域の市民社会と政府が取りうる方策を探り、介入の三セットである、「安心の外交」、「リスク管理と削減」、そして「包括的で共通かつ協力的な安全保障の多国間機関」を描き出したい。第一に、この地域の政府と市民社会は、互いの安全を保証し合うために、一連の積極的な外交作戦に関与することができる。市民社会のアクターは、トラブルの早期警戒の兆候を察知し、それが制御不能に陥らないよう、すべての関係当事者にリスクを警告する現場の監視者の役割を果たすことができる。第二に、各国政府は、現在の態勢がかえって疑念や緊張を高め、戦争の可能性を増大させるおそれがあることを管理し、そのリスクを軽減するために、多くの措置を採用し、実施しなければならない。これらの措置には、ホットラインや情報の公開性といった軍備管理措置や、兵器システムの数量制限の設定や特定の軍部隊の動員解除といった軍備削減措置が含まれる。最後に、現在の不安定な状態を安定と平和の状況に変えるためには、安定した制度的解決が必要である。この地域の安全保障のジレンマは絡み合い、拡大しているため、包括的、共通的、協力的(3つのC)安全保障の制度が必要であり、その中に北東アジアの非核兵器地帯を組み込むことが考えられる。
日時: 2024 年 12月6日(金) 9:00~17:00 、7日(土)10:10-15:00
場所: 東ヶ崎潔記念ダイアログハウス 国際会議室
言語: 英語
参加方法: リンクから事前登録をお願いいたします。