公開講演(10/1):ヒューマン・エラーの諸相 ー 村上陽一郎(ICU名誉教授)
2019-10-01「ヒューマン・エラーの諸相」
講演者 村上陽一郎(ICU名誉教授、科学史・科学哲学)
日時 2019年10月1日 午後1時15分 - 午後3時00分
場所 H-364
現代のシステムは、基本的に「人間・機械系」(Man-Machine System)である。この系における「人間」は、しばしば系全体の安全を脅かす錯誤を犯す。これに対応する方策は、フール・プルーフ、あるいはフェイル・セーフと呼ばれる。前者は、錯誤を侵さないような手立て、後者は錯誤が起こっても致命的な危険を招かないような手立てを指す。人間・機械系の中の人間は、その場での仕事に習熟していない初心者である場合に、錯誤が起こる可能性は高いが、熟練者であるから、錯誤は起こらない保証は全くない。また、錯誤への手立てが施されていても、不運な場合には錯誤が重なる事例も少なくない(スイス・チーズ・モデル)。ここでは、こうした事例研究を試みる。
講演者プロフィール
1995~2008 ICU人文科学科教授。東京大学名誉教授。「安全学」の提唱者。人文学、自然科学、社会科学を横断する著書多数。