「LGBT理解増進法」について

2023-06-16

LGBT理解増進法」(正式名称「性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律」、616日に参議院本会議にて採決)について、本センター有志は強い懸念を表します。

この法律は、多くの団体・個人、専門家がすでに指摘するように、当初の目的であった「差別の禁止(解消)」を避ける形で「理解の増進」という言葉のもと、むしろ「差別を増進」し、マイノリティを抑圧する法案となっています。差別の事実を認めることなく相手を「理解」するのを奨励することは、少数民族や特定の人種、障害者などに、多数派と同じ権利、機会、安全な生活を保証せずに「理解」だけ示すのと同様、形骸的なものです。「LGBTへの理解の増進」を最終目的であるかのように言い換えるこの法律は、LGBTQ+の人権をあくまで認めないことを宣言しているとも言え、それゆえ、理解を増進することにもならず、むしろLGBTQ+方がたに対し抑圧的な効果を持ちます。

本センターは、トランス差別、ホモフォビア、その他多様な性に対するあらゆる差別を看過せず、LGBTQの方がた、この法律に反対・懸念を表するすべての方がたに連帯の意を示します。同時に、日本政府が、関連分野における国際規範の要請に応え、世界基準の人権意識への自らの理解を増進し、「差別の禁止(解消)」を明確に掲げ、LGBTQ+の権利を護る法律の制定へと進むことを強く希望します。

ジェンダー研究センター有志、2023年6月16日

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