アジアンフォーラム 135th 「楽師の西と東―中世ヨーロッパの音楽家はどこから来たのか」

2011-11-08

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135th
2011118 火曜日
14:00-15:00
東ヶ崎潔記念ダイアログハウス 中会議室 203, 204号室

上尾信也
(ICU アジア文化研究所 研究員楽師)

楽師の西と東―中世ヨーロッパの音楽家はどこから来たのか
近代の西洋音楽の隆盛は、世界を「五線譜」と「クラシック音楽」で満たし、「民族・民俗音楽」や「ワールドミュージック」はサブカルチャー(カウンターカルチャー)の色合いを帯びている。
そもそも、西洋音楽のルーツといえば、カトリック教会の典礼聖歌(グレゴリアン・チャント)とオーケストラの楽器に象徴される多彩な楽器が現れた中世に求められることが多い。特に楽器の舞台である世俗音楽とその演奏者(楽師)は中世末期に忽然とヨーロッパに姿を現すとされる。
では、彼らはどこから来たのか。12世紀の宮廷歌人(トルバドゥール)や芸人楽師(ジョングルール)の活動と楽器の伝播と関連付けられ、地中海世界の継承としてのアラブ・イスラムからの伝播説などが挙げられてきた。さらに、歴史学における古代ローマからの連続・非連続についての問題とも「楽師」は関わる。
答えは見つかるのだろうか。それには、東ローマ帝国の意義の見直しと、地中海世界とその先ユーラシア世界はつながっているという認識を考慮すべきであろう。一方、これは中世キリスト教ヨーロッパ世界の音楽受容あり方、楽師・芸人の受容のあり方を再考することでもある。消え去る音楽の証拠とされる「楽譜」に眼を眩まされることなく、文献資料や楽器・図像などの非文献資料に拠りつつ、ユーラシアレベルでの楽師の伝播とその証左を考える切っ掛けとしたい。

発表言語:日本語

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