CGSジャーナル「Gender&Sexuality」創刊のお知らせ

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「Gender & Sexuality 01」は当記事下部のリンクからPDFファイルにてダウンロードできます。また、全国、海外の関係機関等に製本の形で配布しております。
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創刊号発行によせて センター長 田中かず子
 国際基督教大学ジェンダー研究センター(CGS)は、2004年4月に設立されたばかりですが、設立2年目にしてCGSジャーナル『ジェンダー&セクシュアリティ』の創刊号を発行することができました。これは、ひとえにCGSの活動に尽力してくださった皆さまのおかげであると深く感謝申し上げます。

 CGSジャーナル『ジェンダー&セクシュアリティ』の発行に際し、私たちは三つの大きな夢を掲げました。一つは、アジアから新しい知見を創造し発信する「場」となるように、このジャーナルを育てていくということ。日本では、ジェンダー・セクシュアリティ研究の領域においても、他の多くの学問と同様に、欧米研究者による研究成果を翻訳し消費することにおわれ、日本における研究を積み上げてその成果を海外に問うていく努力が少なかったといえます。その一方で、隣国のアジア諸国・地域の情報は少なく、ほとんど知らないにもかかわらず、そのことに困惑することもなかったのです。つまり、西欧中心の知の体系を、私たちはしっかり内面化してきたということです。急速にグローバル化が進む現在、もはや一国内で問題を解決することはできなくなってきました。私たちはこの西欧中心主義を相対化し、アジアから新しい知を創造し世界に向けて発信していく決意をするにいたりました。
 二つ目は、上記の目標を達成するために、日本の、そしてアジア諸国の研究者・研究所・NGOなどの研究活動をネットワーク化し、情報の交換や共同研究などを推進していく「場」となること。日本の大学にある女性学・ジェンダー研究関連の研究所やセンターは、その数が非常に限られていますが、にもかかわらず連携体制が未だできていません。日本女性学会など関連学会もありますが、ジェンダー・セクシュアリティ研究の研究者たちが活発に議論し研磨していく「場」とはなっていません。すばらしい研究成果を出しておられる研究者は沢山おられますが、私たちはその研究成果を積みあげていくための工夫が必要です。西欧中心主義的知の体系を相対化していくためには、日本の中で、またアジアにおいて、研究者や活動家が活発な議論ができるネットワークを作っていく必要があります。
 三つ目は、ジェンダー・セクシュアリティ研究をエリーティズムに陥らせないために、理論と実践、研究者と活動家を積極的に橋渡ししていくこと。当事者が直面している現実を理解し、研究者自身の問題として知的想像力を駆使することで、より深い理論枠組みの構築を可能にします。また理論の汎用性を、現場において試すことも必要です。CGSジャーナルは、研究者や活動家に、そのような理論と実践の協働作業の場を提供することをめざします。
 CGSジャーナルは二部構成で、前半の研究部門は、ジェンダー・セクシュアリティ研究における実証研究や理論的考察などの研究論文に、後半のフィールド部門は、活動家によるケーススタディや国内外のジェンダー関連活動報告など、実践の場での情報提供にあてられます。さまざまな領域の専門家同士が、また研究者と活動家が一緒に論じる特集を組むなど、活発に議論することができる「場」をつくっていくことを今後の課題にしたいと考えております。
 このCGSジャーナルは、だれでもどこからでもアクセスできる電子ジャーナルとして、CGSのウェブページに掲載されます。使用言語は、日本語と英語の二語に限られておりますが、いずれICTの発展により言語変換ソフトの開発がすすめば、簡単に母国語へ変換することができる日がくるのではないかと期待しております。このCGSジャーナルを、おもしろい議論ができる「場」となるように、皆さまと一緒に育てていきたいと考えておりますので、論文や記事の投稿をよろしくお願いいたします。


目次

「創刊号発行によせて」田中かず子

研究論文
性とセクシュアリティ表象について:母への鎮魂歌
イ・ヒャンジン

語りえないことへの呼びかけ: タイ文学に見るレイプの語り
チュティア・プラガットウティサーン

インドにおけるジェンダー表象概論
パルタサラティ・ラジャラクシュミ

フィールドレポート
視線の政治:見られる・消費される女性のイメージ
深澤純子

日本の商業アニメにおける女性像の変遷と「萌え」文化:新しいジェンダーを求めて
村瀬ひろみ

アジアにおけるジェンダーと人間の安全保障:女性と教育
田中真奈

書評 
書評:川橋範子・黒木雅子 著
『混在するめぐみ:ポストコロニアル時代の宗教とフェミニズム』
加藤恵津子

2005年度CGS活動報告
国際ワークショップ 2005
アジアにおける人間の安全保障とジェンダー:人文科学の視点
働く女性の日米ワークショッププロジェクト
2005年度ジェンダー研究センター(CGS)活動報告

CGS 2006年度活動予定・付記


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