荒川(埼玉県)

   

 私は、埼玉県大宮市に生まれ、現在もさいたま市に改名はされたが、住んでいる所は、ずっと同じだ。家の近くの「川」と聞いて、いくつか思い浮かぶ。荒川、芝川、見沼代用水などは、どれも私が小さい頃から親しんできた川である。中でも最も思い出深い川、すぐに頭に浮かんだ川は、荒川である。親しんできたといっても、川に入って水遊びができるほど、きれいな川ではない。透明感ゼロの汚い川である。

 

 荒川は、毎日の通学時に湘南新宿ラインに乗って、荒川の上を通り過ぎているが、最近は、まじまじと荒川を見たことなどなかった。荒川を通り過ぎたということは、東京都に入ったんだなと無意識に確認するぐらいだ。久々に、荒川の河川敷を散歩してみると、河川敷には、キャッチボールをする親子やジョギングをする夫婦など、人がたくさんいる。しかし、泳いでいる人などは誰もいない。やはり、荒川は流れは、のんびりしていて優雅であるが、水の色は、茶色がかっていて、お世辞にもきれいとは言えない。しかし、私は「川がある風景」が好きだ。河川敷も場所によっては腰までくるくらい雑草が野放しにされているが、それでも、私は「川がある風景」が好きだ。それは、やはり水の偉大さに魅かれているのかもしれない。当たり前であるが、川には絶え間なく、大量の水が流れてくる。いつも同じ顔を見せる川だが、その景色は魅力的に思える。これまでも、何回かそのようなことを思ったことがある。荒川は、それだけ私に近い存在だったのだろう。まず、私が自転車の練習をして、初めて乗れるようになったのは、荒川河川敷である。ここでは、父とキャッチボールをしたこともあるし、小学生の頃は、友達と遊んだこともある。高校生のときは、葛西臨海公園の方まで荒川の河川敷を30キロほど歩くという行事があり、みんなで3年B組メイトを味わった。そのときに思ったことだが、荒川の河川敷沿いは、高層マンションの建設ラッシュだった。大きなクレーンがあちらこちらにあった。近くに鉄道の駅があるわけでもない、それゆえ交通の便がよくないのにも関わらず、マンションが建つ。それは、「川が見える」というのがセールスポイントになっているのだろうか。「川がある風景」は、万人にとって良いと感じるものなのかもしれない。とにかく、荒川無くしては思い出を語れないといっても過言ではない。さらに、流行語にもなったアザラシのタマちゃんが姿を現したのも、ここ荒川である。

 

 その荒川は、私が生まれる前は、どういった川だったのだろうか。その点を両親に聞いてみた。しかし、その回答は予想とは反していた。荒川は、私が生まれた頃からあまり変わっていないそうだ。昔から川の水も大してきれいではなかったらしい。河川敷の様子もさほど変わってないらしい。しかし、川の様子を変えずに状態を維持し続けるのは、管理者のおかげであると思う。川の周りは、見違えるほど発展し、姿を変えてしまったはずだ。その発展とともに川は汚染されてしまうと思いがちであるが、そうではなかったようだ。

 次に、荒川についてのホームページを探してみた。Googleで「荒川」と入れたところ、荒川静香をはじめとして、1000万を越えるサイトがヒットした。その中でも「荒川上流河川事務所」のサイトの情報量は、予想以上だった。荒川の歴史や荒川のデータなどは、当然のごとく載っており、市民からの情報で、あまり知られていない、「荒川のある風景」なども数多く投稿されていた。また、小学生のフィールドリサーチ向けのページもあり、インターネットを使用する全ての年代を対象としている印象を受けた。さらには、ライブカメラで荒川の映像を見ることもできた。また、水位も1時間おきに更新されていた。また、このホームページを見て、初めて河川水辺にも国勢調査なるものがあることを知った。水辺にはタヌキやキツネも生息しているそうだ。最も驚いたのは、荒川上流には、イワナやヤマメも生息しているそうだ。荒川の上流に足を向けたくなった。このサイトには、荒川を巡る旅が埼玉県内だけで100ヶ所も掲載されており、どこも爽快な様子が写真から伝わってくるくらい、爽やかな風景ばかりであった。これらの風景は、これからもずっと維持していくべきである。荒川の河川敷には、ゴミの不法投棄が多いらしい。私有地が多いことなどから、解決は難しいそうだが、自分勝手な都合で川を汚すのは、許されない。一方で、荒川には、定期的に巡視をしている人やゴミを拾っている小中学生がいるということを忘れてはいけない。これら荒川のために頑張ってくれている人たちのためにも、また、自分たちのためにも荒川を、特に下流付近をきれいにする必要がある。全ての人が意識を改革し、荒川を下流まで多種の魚が生息できるような川にしていきたい。現在の荒川は、長い時間を経て、現在の姿になったのであろう。そのため、その姿を変えるには、特にきれいにする場合には、より長い時間が必要であろう。しかし、何年かかったとしても、ゴミのない透明感のある、荒川は見る価値があると思う。ぜひ見てみたい。

 

 私は、今まで荒川を最も身近に感じていたが、ホームページなどを見てみて、荒川のことについて知らないことだらけだった。このレポートは、そのことに加えて、荒川の環境管理のことなどについて知る、良い機会になったと思う。荒川では、定期的に有志の方々が集まり、ゴミ拾いをしているそうなので、今度参加してみたい。今までは、何気なく鉄橋の上で電車からなんとなく眺めていただけだったが、これからは見る目が変わりそうだ。今後、荒川から目が離せない。

 

参考文献

荒川上流河川事務所ホームページ http://www.ktr.mlit.go.jp/arajo/

環境goo http://eco.goo.ne.jp/volunteer/lets/vol7/07_01.html

野村 圭佑 「まわってめぐってみんなの荒川―都市を流れる川の自然と歴史」 あらかわ学会 2000年

 

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