安倍川(静岡県)

 

1. 身近な川

 私の生まれ育った町、静岡県静岡市を南北に流れる安倍川を紹介します。安倍川は、静岡県静岡市と山梨県早川町の境にある大谷嶺にその源を発し、幾つもの渓流を合わせながら、静岡市の中山間部で支川中河内川、平野部で支川藁科川と合流し、静岡市街地を南に流下し、駿河湾に注いでいる流域面積567km2、幹川流路延長51kmの急流土砂河川です。私の住む家のすぐ近所に流れる川、というわけではありませんでしたが、静岡市に住んでいれば「川と言えば安倍川」という認識があったように思います。私にとって一番身近な安倍川は中流域なので、中流域を中心にまとめていきたいと思います。

 

2. 安倍川の現在の姿

 安倍川のいいところは、子供から大人まで、あらゆる人が楽しめる場所であることです。安倍川の河川敷にはスポーツ広場や緑地公園があり、川べりにはジョギングコースやサイクリングロードが整備されています。そのため草野球、サッカー、ジョギングやバーベキューなど市民が思い思いに楽しむことができるよう管理されています。夏には花火大会も催されるため、静岡に住む多くの人が訪れる場所となっています。

また、その水質は昭和53年ごろから1mg/L前後を記録して以来ほぼ一定です。安倍川流域に住む人々は飲料水をはじめ生活用水のすべてを安倍川に依存しているため、水質もとても重要ですが、周辺環境や河川敷利用者のマナーの悪化などにより汚染されることもなく、変わらぬ美しさと雄大さを保っています。

そして、きれいな水には魚たちが棲みます。安倍川では、小さな魚からあゆ・にじます・うなぎなど、様々な魚を獲ることができます。大規模ではありませんが釣りもできるので、小学生からお年寄りまで幅広く楽しむことができます。

このように親しみやすい環境がありなおかつ日常生活には欠かせない川であるため、安倍川は今も市民に広く愛されていると言えるでしょう。

 

3. 私と安倍川の関わり

 私が幼少のころ、木枯らしの森という場所に遊びに出かけたことがあります。木枯らしの森は川の中洲にある常緑樹の森で、固い岩盤が川からこの森を守っています。森の中についてはあまり記憶がないのですが、この森の周辺で、泳いだり箱眼鏡を使って川の中の様子をのぞいてみたりした記憶があります。水は澄んでいてきれいなので、小さな魚がたくさん泳いでいるのを見るのが楽しかったです。

 また、安倍川の河川敷では毎年夏に大規模な花火大会が開催されます。この花火大会は県内外から多くの人々が訪れるためとても活気に満ちたもので、中高生のころはとても楽しみな夏のイベントでした。また、花火大会とは別に、友人たちと小さな花火を買ってきて河川敷でよく花火を楽しんでいました。真夏でも夕方の川のそばは涼しく、河川敷が広いため近隣の家から距離がありおもいきりはしゃげる場所もありました。晴れた日には自転車で川べりを走るだけで気持ちよかったし、夏を満喫するには不可欠な存在だったと思います。

 

4. 20−30年前の安倍川の様子

 一昔前の安倍川の様子を父に尋ねてみたところ、20−30年前どころかもっと前、さかのぼって400年ほど前の知識も出てきて興味深かったです。

 安倍川は、地下を流れる伏流水が豊富なことで有名ですが、30年前は地表の水量もかなり多く、現在スポーツ広場になっている近辺もほとんど川だったようです。そのころも水泳や釣りなど川遊びは子供たちに人気だったようですが、砂利採取(土木工事の基礎材料に使うため川原の砂利を採る事業)がさかんだったため水深が非常に深く、水難事故も多かったそうです。その砂利採取は海岸線の維持が困難になることから禁止されたということです。

 家康が隠居していたころ(400年ほど前)の安倍川は、現在よりかなり東寄りに流れていたそうです。しかしその雄大さや人々の生活に欠かせなかったことは当時も同じで、安倍川の存在感は大きいものでした。それを基準にして安倍川より東を安東、西を安西と呼び、その地名は現在も残っています。

 

5. 安倍川についてのWeb-pageより

 安倍川は、幾つもの渓流を合わせながら、静岡市街地を南に流下し、駿河湾に注いでいる一級河川です。日本屈指の急流河川であるため上流域からおびただしい土砂を流出しています。安倍川流域に住む人々は、飲料水をはじめ生活用水のすべてを安倍川に依存しています。安倍川の河川敷には、スポーツ広場や緑地公園が点在し、川べりにはジョギングコースやサイクリングロードが整備されています。普段の安倍川は、広い河川敷には不似合いの極わずかな表流水が網状に土砂の間を流れているだけです。豊富な伏流水や地下水が安倍川流域の人々に多く利用され、水質も非常に良好で、上流から下流まで様々な魚が棲んでいます。また、「木枯らしの森」や「舟山」と呼ばれる常緑広葉樹の自然林があり、安倍川の特徴的な景観となっています。

 

6. 安倍川がどんな存在であって欲しいか 

 第一に、安倍川が静岡市民にとって親しみやすい存在でい続けてくれることを願います。

 安倍川は一級河川で生活用水にも利用されているため、まず水質がきれいなままであってほしいです。また河川敷の環境美化も必要で、安倍川を訪れる人たちが常識を持ってきれいに保つことを続けていくことが重要だと思います。

そして、自然の水に接して遊べる場所として、多くの人が楽しめるような川であってほしいと思います。きれいな水で、魚たちがたくさん棲んでいるような自然の川が身近にあるということはとても幸せなことだと思います。あまり整備されすぎず自然を大切にし、その上で安全に楽しめる環境を維持することでこれからも親しまれる存在であってほしいです。

 

<参考>

HP「安倍川」

http://www.mlit.go.jp/river/jiten/nihon_kawa/85047/85047-1.html

 

戻る