水を制する者は受験を制す!

 

 皆さん、こんにちは。この高校を卒業してもう4年が経ちますが、こんなに大勢の高校生と話をするのは久しぶりです。さて、知っての通り今日母校にやって来た訳は、高校2年生に大学入試についての話をして欲しい、と担任だったH先生に頼まれたからです。おりしも、昨日はちょうど国立大学の2次試験でしたね。

さて、入試についての話を頼まれたと言っても、はっきり言って受験勉強の中身について、僕は何も話せません。ダメ学生でしたし、ICUとかいうヘンな大学を目指していたので、一般的な受験生とは勉強の仕方が少し違ったかもしれませんし。そこで、ツライ(と一般に言われている)受験期を元気で過ごす、ちょっとしたコツを話そうかなと思います。大学受験2回の実体験に基づいていますから、少しは役に立つと思いますよ。では、それは何かというと、「水を制する者は受験を制す!」ということです。 え…? どういう意味…? って感じですよね。まあ、それは徐々に説明していきましょう。とにかく、水をうまく利用することで、快適な受験生ライフを送ろうってことです。

水。 って聞くと、皆さんどんなイメージを思い浮かべますか? え? 特に何もない? うーん、そうかもね。僕たちの身の周りに溢れすぎていて、コレと言って特別な物ではないかもしれない。朝起きてから夜寝るまで、一体どれだけ水のお世話になっているか分からないけど、それだけに有り難味を感じるよりも当たり前に感じてしまうよね。そんなに高い物でもない訳だし。だけど、水は驚くべきパワーを秘めているんです。

 

 まず、水の持つ力、その1。「飲む水」についてです。水を飲むことで、健康体を維持できるんですよ。というより、水以外の飲み物は不健康体を作る、と言ってもいいかもしれない。みなさん、家とか学校とか普段の生活で、何を飲んでますか? お茶? ジュース? ビール?…って人は、さすがにいませんね。私はというと、受験生の頃は水を飲んでました。もっと具体的に言うと、ミネラルウォーター「南アルプスの天然水」です。え? どうして水なんか飲んでたのかって? うーん、じゃあそれを説明する前に、軽くミネラルウォーターを買ったきっかけを話しましょう。

そのころ、家の目の前にディスカウントの酒屋さんがありました。ディスカウントだからケース単位で買えるんだけど、そこに「南アルプス〜」が置いてあったんですね。いくらだったかなあ。1本(2リットル)当たり、180円くらいだったと思います。金遣いの荒い今の僕にとっては高くて日常的には飲めないけれど、当時、受験生ってこともあって、これと言ってお金を使うことが無かったんですね。貯まる一方。だから、お金の使い道に困るというわけではないけど、買いたい物があったら比較的すぐに買えたんです。まあ、お金の話はさておき、最初は単純においしそうだからと言う理由で買いました。で、しばらく飲み続けてみたんですが、なんだか体の調子がいい。スッキリするんですね。

そもそもミネラルウォーターを問題にする前に、なぜ人間は水分を取る必要があるのか考えてみましょう。まず、人間の体は水分で成り立っているんです。成人で約70%、生まれたばかりの赤ちゃんに至っては80%が水だと言われています。この数字を見ると、水は人間にとって根本的な要素であるのが分かるでしょう。じゃあ、水は体の中で実際にどんな働きをするのか。ほんとうに様々な役割があります。血液を循環させる。リンパ液を活発にする。体液を調節する。ブドウ糖の生成。細胞の新陳代謝を図る。毛細管作用を促す。内臓をきれいにする……。口から体内へ入った水は、胃や腸から吸収され血液となって体内をめぐり、老廃物を運んでやがて腎臓で濾過され、尿や汗となって排泄されます。だから、散歩して汗をかいたりすると、水分が不足して血液がドロドロになってしまう。こうなって血液がうまく流れないと、動脈硬化になって心筋梗塞や脳卒中の引き金になってしまいます。さらに脱水が続けば、血液中の毒素の比率が高まり尿毒症となって死んでしまうことさえあるのです。人間が一日に排泄する水分は約2リットル、ペットボトル1本分ほど。ということは、毎日2リットルの水を補給する必要があるということになります。

 水分補給の大切さについては分かってもらえたでしょうか。それでは話を戻して、なぜ水なのか。なぜ清涼飲料ではなく、水を飲むべきなのか。それは、水はカラダにとって余計な成分を含まず、必要な水分を効率よく補うことが出来るからです。また、当たり前ですがミネラルを含んでいるため、ミネラル摂取が簡単に出来るという利点もあります。ミネラルウォーターは胃に入ると、すぐに小腸へ送り出されるのですが、この時ミネラル分が既にイオン化されているため、小腸ですぐに吸収されます。特にカルシウムなどは元々体内に吸収されにくい性質がありますが、ミネラルウォーターのカルシウムの場合は、その50%以上が吸収されるのです。ところで、ミネラルと言えば、実は水道水にもミネラルは豊富に含まれているんですよ。場合によっては、ミネラルウォーターより多い場合もあります。でも、せっかく飲むんだから、おいしい方がいいですよね。

その一方で清涼飲料水は、原材料として、水、ブドウ糖、ビタミンCや香料等が用いられています。どの清涼飲料水にもブドウ糖が含まれているため、ふとることが制限されている糖尿病の人や肥満の人には余分なカロリーの取り過ぎになり、飲むことは勧められません。また、子供の糖尿病が日本でも増えていて20年前に比べて3倍近くになっている、というデータもあります。栄養所要量からみると、最も活動量が多い人でも砂糖の摂取量は一日あたり20グラムですが、500mlの清涼飲料を飲めば50グラムの糖を摂取していることになります。清涼飲料の悪影響が指摘されて久しいですが、実際に数字で示されると納得しますよね。こうした影響の恐れがない「水」をオススメするわけ、分かったでしょう?

でも、こう話すと、「スポーツドリンクの方がカラダに良いのでは? コマーシャルでも“素早く吸収できる”と謳っているし」と思う人も大勢いるでしょう。確かにスポーツドリンクは、食塩を含む電解質を人間の体液に近い成分にして加えてあるので、水分が素早く体内に吸収されるという特徴があります。水分の補給と共に、消費された糖分や食塩を含む電解質の補給もスムーズに行えるんです。しかし、他の清涼飲料水同様、スポーツドリンクにも必要以上に糖分が含まれています。例えばポカリスエット1リットル当たりのカロリーは268キロカロリーにもなります。これはご飯の量では180グラム程度になり、お茶碗に軽く1杯半以上あります。

 清涼飲料に対するこうした事態を懸念して、ロサンゼルスでは、2004年から学区内の公立学校約700校でコーラなど炭酸飲料の販売が禁止される事になりました。学校の食堂や自動販売機からソーダ類が除かれ、牛乳や水、果汁50%以上のジュースだけが販売されるそうです。かつて、皆さんがこの学校に入学するずっと前ですが、校内には自動販売機はなく、飲み物は売店で売っている牛乳や100%の紙パックジュースだけでした。今は自販機が設置されて便利になりましたが、それだけ清涼飲料を飲む機会が増えたことになるので、気をつけたいものですね。

 

 はい、長々と話してきましたが、後半に入りますよ。2つ目の水の力を話しましょう。次なるキーワードは、「部屋を水浸しにしよう!」です。これまた、ハァ…?という感じですねぇ。だんだん僕のことをバカなんじゃないかと思い始めた人もいることでしょうが、そう思ったら人を見る目がありますよ。まあ、それはさておきですね、言いたいのは「部屋の湿度を上げろ」ということです。方法はなんでもいい。加湿器があるならベストだし、よく言われる洗濯物を干す方法でもいいでしょう。僕は濡れタオルをハンガーに掛けてぶら下げて、乾くたびに水をかけてぬらしていました。床に水を張った容器をたくさん並べたこともありました。でもやりすぎて、部屋に入ってきた母親がその中に足を突っ込んで大騒ぎになったこともありましたけど。そうそう、タオルを掛ける方法だと、だいたい1週間くらい掛け続けるとタオルがすごいニオイになってしまうから要注意です。部屋のニオイを全部吸収してしまうんですね。余談ですが、これも水のパワーの一つと言えるでしょう。タバコくさい部屋でも、濡れタオルをブンブン振り回すと煙草臭さがなくなるそうです。おっと、脱線し過ぎました。話を戻します。方法はともあれ、部屋を乾燥から防いで湿気を保つことが、受験生の大敵であるカゼの予防に、最高の効果をもたらすんです。

 乾燥は二重の意味でカゼの原因になります。一つ目の原因は、皆さん知っての通り、カゼのウィルスは乾燥した場所を好むことです。冬はただでさえ空気が乾燥しますよね。そのうえ部屋でストーブなどを使うと、ますます空気は乾いてしまうのです。これでは、部屋でウィルスを飼っているようなものじゃないですか。もう一つの原因は、人間の鼻や喉の粘膜が乾燥に弱いことです。普段、それらの粘膜は外部からのウィルスの進入を防ごうとします。クシャミをしたり、タンを吐いたりするのも、分泌物がからめ取った異物を体内に押し出す作用の一つなんです。ところが、空気が乾燥すると、こうした粘膜の働きが鈍ってしまいます。吸い込まれる乾いた空気が、鼻や喉の粘膜の滑らかさを奪ってしまうのです。そうなると、ウィルスは簡単に体内に進入できます。そして様々な症状を引き起こす、という仕組みになっています。このような事態を避けるために、部屋の湿度を高めることが不可欠なのです。湿気があればウィルスは生きていられませんから、カゼ、そしてインフルエンザの予防に役立ちます。もちろん定期的に部屋の空気を入れ替えることは忘れずに。前半で述べた水の摂取は、喉の乾燥を防ぐ、という意味でも有効な手段です。のどアメが効くのも、そのアメの成分のせいだけでなく、喉を唾液で常に湿らせるという役割も果たしているのです。どうですか? 水はウィルスをも殺してしまう、とても心強い見方なんですよ。

 

 さてさて、長い間お話して来ましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。受験勉強における、というより結果的には健康のための水との付き合い方について話してきました。水の力について分かってもらえたと思います。幸いなことに、今の日本では水に困ることはまずありません。それに、ここ神奈川県は関東の中でも唯一、独自の水源を持っている県です。普段のなにげない生活の中で、水の有難さを忘れてしまいがちですが、いま一度、水の有効性について考えてみるのも必要ではないでしょうか。何も、僕がこれまで述べたことをその通りに実践しなければならない訳ではありません。しかし、これをきっかけに少しでも水に対する意識を持って、そして考えてもらえたら、これ以上幸せなことはないと思うのです。ありがとうございました。

 

 

<参考文献>

カゼを理解して賢く克服しよう http://www.cramer.co.jp/care/kaze.html

散歩の極意 http://www.3ac.co.jp/tue/sanpo/04b3c001.html

清涼飲料の功罪 http://www1.doc-net.or.jp/~IBARAKI/telephone/1998/199808.html

ペットボトル症候群 http://www.media-net.ne.jp/yoshi/petbottle.htm

ミネラルウォーターの効能 http://homepage2.nifty.com/ukifune/Aqua/aeffect.htm

 


▲レポート一覧に戻る

▲元(講義資料)へ戻る