隠れたすごいやつ-水-

041750 大西玲央

 

 「水は無味、無臭、無色透明で、物理・化学的に特に注目すべき特徴もない。しかも、この地球上のどこにでもある最もありふれた物質だ」と考えている高校生はいったいどのくらいいるであろう。日本に限らず世界中に多くの人たちがこういう考えも持っているのではないだろうか。特に先進国の学生などは水の貴重さにいまいち無頓着と思われるので、なおさらこういった考えを安易に抱いてしまっているかもしれない。アフリカやアジア諸国に見られる発展途上国などでは水を巡る紛争までが起こっているのが現状なので、水の貴重さを強く痛感していると思われるので「最もありふれた物質」とは間違っても思わないであろう。そんな水の実態を何も知らない高校生に話をする時はいったいどのような話が効果的なのであろう。まずは水の存在という物をもっと相手に気付かせる必要があるのではないか。

 

世界の水の量

 「今この地球上にある水の総量をみなさんはご存知でしょうか。約1,384 x 106 km3 と言われています。たしかに莫大すぎて想像もつかないとは思いますが、その内の97.5%は海などの塩水です。ということは我々人間が飲めるとされている淡水は残りの2.5%しか無いということになりますね。しかしそのたった2.5%の内の70%は北極と南極の氷なのです。そして29%は地下水であることがわかっています。残りは土地の水分などとしてあまり目にすることはありません。よって私たちが簡単に利用できる水の量は世界の水総量のたった0.014%に過ぎないのです。しかもこの0.014%、使うのは人間だけではなく他の生物ももちろん使うのです。現在の世界人口は役63億人、そして増え続けています。これで大体どれだけ水という物質が私たちに限られているものなのかがわかったと思います。」

 

とりあえずこういう事を始めに言っておくことによって、水がどれほど貴重なのかということがわかると思うので効果的であると思う。少なくとも自分はこの事実を知ったときに驚愕し、水という物質に多少なりとも興味を向けるようになった。

人間と水

 「地球の7割は水、そして人間の5から7割も水でできている、これは結構有名な話でご存知な方もいるかと思います。ではこの数字データはご存知でしょうか?のどが渇いた方いませんか?はい、あなた、あなたは今体の中の水、大体2%がなくなった状態なのです。人間は2%無くなるとのどが渇いた状態になるということです。そして更に、5%の水がなくなった人は幻覚症状を起こしてしまいます。そして12%、たったの12%ですよ?なくなった状態で人間は死んでしまいます。というわけで皆さん充分水分をとることを心がけて下さいね。日本人の一日あたりの平均水使用量はだいたい350リットルとされています。これはお風呂や選択の時に使う量も含めていますが、わたしたちはこれだけの量を使っているのです。その中で水を体内に摂取することはとても大切なことなので怠らないで下さい。」

 

このデータも非常に興味をそそると予測される。やはり数的データという動かぬ証拠を見せることによって相手も深く納得する。この話をする際、授業で吉野教授が使用した「たけしの万物創世記『水の驚異』」を実際見せるのも非常に効果的であると思う。学校という堅い場所なのに普段家で見そうなテレビ番組を見ることが出来るということで高校生もいつもより興味を持って授業に参加してくれるのではないか、というのが狙いである。一日あたりの平均水使用量もまた興味深い数字であり、「こんなに使っているのか」という考えが頭をよぎるはずである。最初に「世界にはこれだけしか水がありません」と言っておきながら「人間は一日でこんなん使用しています」と言うことによって、水の貴重さ、水資源の大切さというのも自然に感じとってくれると思われる。

 

水で切る

 「物を切る時に皆さんがまず頭に思いつくのはなんでしょう?やはりハサミ、カッター、包丁といった刃物が多いですよね。中にはレーザーなどを思い浮かべた人もいると思います。では水を思い浮かべた人はいますかー?あ…、いるんですか?なんだぁ「えー?!」っていう反応を期待していたのにいるんですね。まあ思いつかなかった人のために説明しますね。実は水もいろいろな物質を切ることができるのです。ものすごい圧力をかけものすごい高速で水をぶつけてやると、鉄、コンクリート、大理石などとても硬い物質をも切ってしまうことができるんですね。この作業を可能にしてくれているのがウォータージェットやアクアジェットといった機械です。この機械を通すと水を音のスピードの何倍もの速さで針のような状態で押し出すことができるのです。」

 

数的データだけではいい加減興味が薄れてきてしまうので、ここで水という物質の以外な使用法である「水を切る」ということを紹介することによって更なる関心が広まるのではないだろうか。普段では飲んだり、料理したり、泳いだり、物を濡らせたりするために頻繁に使用されている水がちょっとした力を加えることによって物を切るというある意味殺傷能力を持った物質に変わってしまうのである。

 

水の味

 「水は本当に味が無いのでしょうか?ここに水の入った4つのコップがありますので飲み比べてみたいと思います。誰か立候補する人はいませんかー?大丈夫ですよ、死にはしないと思います。はい、じゃあ、君、こっちに来て飲んでみてください。ではまず、1番のコップから順番にどうぞ。…。どうですか味は違いますか?どれが一番おいしかったですか?ほう、3番ですね。これはアルプスの天然水です。おいしいはずですね…。」

 

これは最近テレビで見た実験をそのまま行っているのだが、水が無味なのかどうか調べるのには一番てっとり速いと思ったので導入してみた。その番組では東京の水道水、アルプスの天然水、富士山の原水、ハワイの深層水がそれぞれ入った4つのコップを人間と味を探知できる機械が飲み比べるという企画だったのだが、水の味を飲み比べるというのはおもしろいと思い、味の違いを示すのにも調度良い。実際いろいろな水を注意して飲み比べてみるとそれぞれ味が違うことに気づく。市販されているペットボトルの飲料水もそれぞれブランドや水のとられた場所などによってだいぶ味が変わってくる。なぜ水が商品として売れるのかというと、それだけ水道水との味が違うということであり、よりおいしい水を消費者が求めているという訳であり、水は無味であるとういことはその時点で否定できると考えられる。

 

水を見る

 「この講義が終わってからも当然皆さんは多くの水と接していくわけです。そしてその際、毎回ではなくて良いので、たまに思い出したように注意して水というものを見てみてください。飲み水の味を注意して味わってみてください。色々な世界が見えてくると思います。身近にある東京湾やその辺の川でも何でも良いのです、じっくりと観察をしてみて下さい。何かしら自分なりの発見ができると思います。「ここの水は汚い」とか「魚がいた」とかその程度のレベルでも良いのです。身近にある水を理解し知ることがまず大切なのです。そして旅行等で違う土地を訪れるときがあれば是非そこの水を見て、自分のまわりの水と比較してみてください。何が違うのか、どうして違うのかといった疑問が自然と湧いてくると思います。私は沖縄に行った時に海の美しさに驚愕しました。「青い海」とはこの事を言うのだなと思い知りました。綺麗な水を面したときに、いかに都会の水が汚染されてしまっているかということに気づくと思います。水質汚染は今世界レベルで問題視されている非常事態です。限られた水を私たちは毎日たくさん使っているのです。水を綺麗に保つことは人間の宿命であると言えるでしょう。それを一人一人が個人的に肌で感じることによって、少しずつではありますが水問題は改善の道を進んでいくことができると私は信じています。「俺一人で何をできるのさ」なんて思ってはいけません。皆がそう思ってしまったら何もおこらないのだから。」

 

今までいったことを軽くまとめながら、今後水と面する時に考えてもらいたいことあげる。本を読んだり調べたりしなくても自ら海や川を眺めたり泳いだりと肌で感じとることができることを利点に、これをきっかえに水の現状を一人一人が自分にあわせた適度なレベルを知ってもらうことがこの講義の意図である。

 

参考文献

参考文献は主に授業中にとったノートや授業中に見たビデオ、家でみたテレビからとっているので特に載せるものはありませんでした。

 

 


▲レポート一覧に戻る

▲元(講義資料)へ戻る