§4 ラボアジェの水研究

A. 四元素仮説(元素の転換)の否定実験

B. 燃焼の本質解明実験

C. 水、空気の組成を決定

D. 元素(単体)表の発表

 

A. 四元素仮説(元素の転換)の否定実験:ペリカン実験(1770)

 従来(アリストテレス)の考え:

   水は土に元素転換される。

この説明が本当かどうかを調べる実験: 10.24, 1768に開始

1) 8回蒸留した水(20.0grain)をペリカン型フラスコ(21.5grain) に入れる。

  

2) すこし煮立たせてから栓をし、

  全体の重さを測る。

  20.0+21.5=41.5grain

3) 煮沸を101日間続ける(2.1, 1769まで)。

  水は白く濁り始める。

4) さまして全体の重さを測る。

  41.5grainで不変。

  ・白い浮遊物:4.9grain + 水蒸発後の残りかす:15.5grain  

    合計:20.4grain → ペリカン型フラスコの内壁が溶けだした物

 ・空のペリカンフラスコの重さ:4.12grain、すなわち、減少量は17.38grain

  差:3grainは沈殿物に含まれていた水分による(重量誤差)とした。

 

 結論:水は土に変換されない。

   (四元素仮説(元素の転換)を実験に基づいて否定)

 

B. 燃焼の本質解明実験

 金属として水銀を選び、燃焼に伴う重量変化に注目。

(1)水銀をレトルト・フラスコに入れ、

    口先を一定容量の閉鎖空間に導く    

     (水銀:4 once、空気の量:50 inch3)

    12日間炉で加熱 

<結果>

・水銀の表に赤い皮が生じる(水銀灰):45grain

・空気の量:50 → 42 inch3に減少して止まる。

・残りの空気(「毒の空気(Azote)」):

   ローソクの火が消える。

 

(2)水銀灰(45grain)を閉鎖空間に置き、レンズで集光して加熱

   

<結果>

・8 inch3空気の量が増える。

・前の実験の残りの空気(42 inch3)と合わせると

 50 inch3となり普通の空気と同じものであることを確認

 

【説明】:8 inch3の空気が水銀と結びついて水銀灰を生成し、水銀灰を加熱す ると同じ空気を遊離する。すなわち、燃焼とはその空気(「生命の空気」= 酸素)が金属あるいは可燃性物質と結びつくこと。

 

  水銀  + 「生命の空気」------> 水銀灰 

       (“酸素”)

  2 Hg     + O2   ------> 2HgO

 

  空気とは、「生命の空気」と「毒の空気(Azote)」の混合したもの

  (元素ではない)。金属灰は金属と“酸素”との化合物。

  金属はそれ以上簡単な元素に分解できないので、“単体”と見なす。

 

C. 水の組成を決定

水の合成実験(1783)  <プリント参照>

 水素と酸素の混合比を変えて燃焼させる。

 ・容積比が2:1の時、水素も酸素も残らず完全に水に変わる

    (水は水素と酸素から成る)。

・変化の前後で全体の重さは不変(燃素の存在を仮定する必要がない)。

水の分解実験(1785)  <プリント参照>

沸騰させた水(水蒸気)を強熱した鉄管に通し、生じた水に不溶な気体を収集: この気体は水素であることを確認した。

  (水は、水素 を含む化合物である/元素ではない)

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