2012 News and Updates

5/19 新入生リトリートで八ヶ岳。前夜の雨で、甲斐駒、北岳、鳳凰三山などがみな雪を被り、雲一つない青空に美しく映えていました。600人の学生の動きもスムースになり、同じ会場で回を重ねてきた成果もあったようです。閉会式では、「魂の playground としての自然」という Teddy Roosevelt の言葉について話しました。
5/13 先週のロータリー平和会議のことがメディアに載っています (Global Travel Industry News)。元少年兵だったエマニュエルのラップ講演のこと、彼を救出し教育したエマのこと、最近の "embedded journalism" の問題、アウン・サン・スー・チーさん一点張りの報道への批判、そしてわがICUロータリーフェローのAlli Kwesell がやっている東北被災者支援プロジェクト "Photohoku" のことなど、考える素材がいっぱい。どうぞご覧いただいてご協力ください。
5/5 閉会セッションは昨年のノーベル平和賞受賞者 Leymah Gbowee の講演。女性や母親の視点からの具体例が豊富で、しばしば拍手で中断されましたが、非常にパワフルで聡明でした。殺戮の後に和解をもたらすには、犠牲をも引き受ける強い決意と「自分より大きな存在からの力」が必要だ、というお話。質問の時間では、「心の平和」以前にまず軍事力で「物理的平和」を確保する必要がある、という米軍関係者と鋭く対立していました。考えるべきこともたくさん残りましたが、この講演だけでもバンコクに来た甲斐がありました。
5/3 Rotary World Peace Symposium でバンコクに来ています。3万6千人が集まるとかで、空港の入国管理窓口からホテルや街角まですべてがロータリー歓迎一色。最初の全体プログラムは、スーダンで少年兵だった青年によるラップとヴィデオのコラボによる講演でした。次の小セッションでわたしも話しましたが(「講演」ページ参照)、何かいかにも古めかしいフツーの講演。まあ、この年になってラップは踊れません。
4/26 アイルランド大使 John Neary 氏ご訪問。外交公用車で見ましたが、アイルランドの国旗ってインドの国旗とおんなじ色ですね。真ん中の丸を取ってタテにしたら。粗餐の後にご講演。会場は学生でいっぱいになりましたが、質問がアイルランド語教育についてばかりだったのが残念。わたしはもっとケルト宗教や文化的多層性の話を聞きたかったのだけれど。
4/22 内田樹の連載エッセー「仕事力」4本目で終わり。新聞の広告欄ですが、第一回 (4/1) がいちばんよかった。やっぱり神戸女学院大で教えていただけあって、「天職」つまり呼ばれてする仕事の尊さを語っています。「適職」探しで悩む学生たちに読ませてやりたい。ただし、「キャリア」という言葉は英語でもニュアンスが合わない。 Job--Career--Calling です (R. Bellah)。
4/20 野球ボールくらいの大きさの原発を修理する仕事を任されて、いろいろいじっている内に、ふと気がつくと原子炉の蓋が開いていた! 大量被曝の恐怖に「ぞおおおっ」としたところで目が覚めました。夢は多くを語ります。4月以来新しい仕事で毎日学ぶことばかり。とんでもない未知の危険に直面しているわけなのです。
4/15 北青山で同窓会の役員全体会議。同窓会も新体制だし、大学側も新体制なので、懇談と交流の機会にと。こちら側は5人だけでしたが、全体では80人くらいいたかな。見回してみると、同窓会の理事や評議員には第一男子寮時代やICU教会からの知った顔がずいぶん並んでいますね。そういう歳になったということかな。お互いの立場で協力しつつがんばりましょう。
4/11 大学入試で数学を受験した文系出身者は、大企業に就職して高収入だというニュース。京都大や同志社大などの調査らしいが、その関連づけは「数学で論理的な思考が身につくから」と、とんでもなく非論理的。仮にこの研究者たちが報道の通りに発言したのなら(まさかね)、統計の愚かさのモデルケースになります。数字と数字の間をつなぐのが論理なのに。さらに「理系の中でも生物や化学より物理の方が論理的だから高収入」とも。いったいどこまで非論理的なのでしょう。
4/7 ICU高校入学式。職責上久しぶりに出席しました。多様な背景をもった生徒たちが集まって、日本に一つしかない高校ができています。ハイあがりの学生が大学でのびのびと力を発揮しているのも、なるほどと頷けます。でも、あのゴダイゴ作の高校歌はやっぱり早すぎてついていけませんでした。
4/3 入学式。昔からの知り合いのお子さんが4人もいました。日比谷新学長、なかなかよいお話をされました。ちょうど『サンデー毎日』にインタヴューが載っています。「秋入学」私はこう考える/「ギャップタームの留学にあまり意義はない」――ホントその通りです。そういえば、国際教養大の中嶋学長、アメリカ政治学者の息子さんご夫妻はICU卒だとか。
3/28 イギリス哲学会」大会記念講演(「講演」ページ参照)。久しぶりにエドワーズの自然哲学を論じました。その後のシンポジウムなども参加しましたが、多様な関心領域が交錯するメタ学会の面白さがあると思ったら、18世紀系と20世紀系、ヒューム系と分析哲学系、純哲系と政治哲学系と、やや乖離している感じ。それでもラッセル以後というかクワイン以後の形而上学の復権が面白かった。やっぱり Ayer 最晩年の奇妙な宗教論などは知られていないかな。。。
3/24 小田嶋隆が「レッテルとしてのフクシマ」というコラムを書いています(日経ビジネスオンライン)。フクシマという日常カタカナ語法の分析が実に見事です。全体のスタンスも個別の批評もいい。やっぱりこいつは文章で勝負をしている男だな、と思います。無難に流れず、時流に阿らず、なのに多くの人に読んでもらえる術を心得ている。手練れの格闘家。いつものらりくらりして見えるが、危ないテーマに斬り込む時はかなりのスパーリングを積んであると見た(あしたのジョーのノーガード戦法だな)。それにしてもツイッターってすごいね。カズキ君、今度彼にティリヒの不安論を教えてあげなさい。
3/20 天皇陛下の胸に水がたまってなかなか抜けないのだとか。まさに、東北の津波とその復興の遅れを宇宙論的に象徴しています(2/14参照)。それにしても、手術後の震災一年追悼式に出席するという固い決意など、あのお二人には戦後日本の「贖罪」と「和解」に対する強い信念と責任意識を感じます。
3/15 巨人が球界ルールを破る高額契約金で選手を買い漁っていたことが判明。しかも「標準」は「上限」ではないと開き直り。ちょうど20世紀初頭のアメリカ野球の発展を調べていた最中なので、とても気になります。ついでに、Moneyball という映画をお勧めしておきます。野球とカネの関係や、例の裁判沙汰になっている GM という職務の役割など、はじめてよく理解できました。
3/8 「大学授業に難易度番号」という記事が新聞に出ていました。100番台は基礎、200番台は中級など、ICUの学生なら誰でも知っている制度ですが、日本の大学ではいまだに行われていないところが多い。学生のみなさん、何度も言いますが、ICUの常識は日本の非常識です。でも、日本の常識は世界の非常識です。
3/5 『理想』 最新号がようやく出ました。昨夏に書いた「良心の自由」をめぐる論文です(「論文」ページ参照)。他の執筆者を見ると、深井さん(聖学院大)に茂さん(青山学院大)、芦名さん(京都大)に土井さん(関西学院大)と、学会理事会でよく顔を合わせる人ばかり。他にも、安心して読めるものあり、刺激的なものあり、そしてやや首を傾げるものあり。
3/3 朝起きてぼうっとしたまま洗面所の戸棚を開けると、ぎょっ、そこに小さな宇宙人が立っていました。よく見たら、買ったばかりの髭剃りでした。カメラを向けると、な、何と、顔認識をしました。これってスゴいのかな、スゴくないのかな。。。うーん、よくわからない。
2/29 卒論発表会。都合がついたのは6人、打ち上げは11人でした。みんな叱られながらよくやりました。打てば響く。ほんとに教え甲斐のある学生たちです。新年度から授業を担当しなくなると、こういう学生たちと付き合う機会が少なくなるのがいちばん残念です。
2/25 石原慎太郎知事殿。憲法は正当性がなく無効だから破棄せよ、との持論をまた展開されたそうですが、日本国憲法第99条に「公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負う」と定められていることをご存じのはずです。ご自分の発言をどのように正当化なさるのでしょうか。
2/22 橋下市長が「参院廃止」を訴えています。大衆受けする政策ですが、これも立法部の暴走を招きます。アメリカ独立に際してはペンシルヴェニア憲法が一院制を取りましたが、権力の集中を批判されてすぐ二院制になりました。議会こそチェックアンドバランスが必要なのです。まあ、これは参院が「良識の府」であることを前提にした上の話で、定数も確かに多すぎるとは思いますが。
2/17 東大の秋入学移行計画が論じられていますが、何でも東大に注目という日本のマスコミにいい加減腹が立ってきます。ICUは秋入学を60年前から実施してきました。大学の国際化?何を今更そんな話してるんだ?入学時期をずらすだけでは国際化にならんとか、そもそもGPA制度すら満足にない日本の大学で、どうしてそんな話ができるのでしょう。
2/14 天皇陛下が心臓の手術を受けられるそうです。震災のあと、ご高齢をおして何度も被災者を見舞われるお姿を拝見しましたが、地震で日本の国土に亀裂が入ったことと、その国土の宇宙論的な体現者ご本人の身体が胸に傷を受けることとは、宗教学的には深く相関しているように思えてなりません。
2/9 NYタイムズに「世界中でアメリカ憲法の魅力が失われつつある」という記事が載っています。アメリカ憲法は民主主義の原点のように見られますが、実は同憲法には民主主義や多数決原理への深い疑念も内蔵されており、今でも(いや今こそ)有意義です。立法府も専制権力になり得るからです。多数者による専制は、一人による専制と同じように圧政的です。
2/3 新約聖書学の教員公募が掲載されました(右欄参照)。日本語と英語の運用能力が必要ですが、国籍は問いません。どなたかご存じの方がありましたら、ぜひ応募を勧めてください。Faculty position available in the Department of Philosophy and Religion (New Testament Studies)→
2/1 『現代に語りかけるキリスト教』(「著書」ページ参照)再版の連絡。これで第8刷になります。わたしの本でこんなに売れているのはこれだけ。日本人の宗教分布を最新版『宗教年鑑』の数字でアップデートしておきましたが、なぜかキリスト教が減って実数に近づいています。14年前のは「人口比3%」などと、法外な数字でした。
1/25 7月に上智大学で神学講習会に加わります(右欄参照)。今年のテーマは「男と女」だとか。このテーマでカトリックの神学者や信徒の方々と何を話したらよいのでしょう。ご依頼はわたしが十数年も前に書いた本を読まれてのことだそうですが、カトリック神学の何世紀もの厚みからすると、そりゃごく最近だ、ということになるのでしょうね。
1/17 君が代訴訟の最高裁判決。補足意見・反対意見を含め、5人の裁判官が全員一致で処分の不当性を認めたことに、まずは少し安堵。2007年のピアノ訴訟判決から、昨年の職務命令判決(5/31参照)を経て、少しずつ正しくなってきたことも見える。でも、それが例の「社会通念」に倣う変化だとしたら、最高裁はただの風見鶏になります。社会の大勢がどうあろうと、節度ある方法で静かに自分の信念を表明する良心の行為には、憲法上の自由が保障されなければならない。今回の判決は世論任せで学ぶに遅かったが、大阪市長のような単純思考を防ぐには有効でしょう。
1/13 最近また「World Who's Who にあなたのプロファイルを載せるので登録してください」というスパムメールが入ります。面白いのは、ウェブサイトは本格的な造りなのに、Google でオフィスの番地を入れると、ど田舎にある一軒家の映像が出てきて、しかもその家が35万ドルで売りに出ていること。そのくらい隠してからやれよ、とツッコミたくなります。
1/8 アメリカ教会史学会での発表(「講演」ページ)。歴史学会の一部ですが、ニューイングランド関係が目立ちました。われわれの発表はもうすぐ Oxford University Press から出る本の prequel なので、既存原稿を短くまとめただけの気楽なものでした。終わってすぐシカゴ美術館に直行。西館でアンリ関係のルソーやマチス、ピカソやシャガールを見ていたら、東館のエル・グレコを見る時間がなくなってしまった。。。しくしく。
1/6 エドワーズ研究のコロキウムでシカゴに来ています(「講演」ページ参照)。教室で学生と話すのかと思ったら、ふつうの学会スタイルでした。戦後すぐに出版されたエドワーズの日本語訳について話しましたが、とても面白い指摘をもらいました。何か宿題が増えたみたい。午前中のセッションでは、コロキウム参加者の他に、今2つの大学院で著作を読んでいる Thomas Kidd、『はじめてのエドワーズ』原著者の James Byrd、最近 Notre Dame に移った Mark Noll、それに Yale の大御所 Jonathan Edwards Professorship の Skip Stout に会いました。
1/3 Edinburgh University Press からもう一つ論文が出ました(「論文」ページ参照)。大学出版局のホームページで買えますが、18ドルもします。古くなるとタダになるのかと思っていたら、2009年のもまだ有料みたい。ご希望の方にはどちらもコピーを差し上げます。
1/1 みなさまあけましておめでとうございます。毎年のことながら、年賀状・クリスマスカードなどなど、いただいた方々には筆無精をお詫びいたします。本年もどうぞよろしくお願いいたします。旧年中のログは左欄に移しました。数えてみると、このホームページも8年目になりました。通りすがりの方にも、頻繁に訪れてくださっている方にも、ご挨拶とお礼を申し上げます。

Information

教員公募 Faculty Position
新約聖書学 (New Testament Studies)
5/28-29
鴎友学園箱根研修会
7/27, 29
夏期神学講習会・シンポジウム(上智大学)
Recent Books
Asian and Oceanic Christianities in Conversation (Editions Rodopi)
人間に固有なものとは何か』(創文社)
・『キリスト教のアメリカ的展開』(上智大学出版)
Building New Pathways to Peace (University of Washington Press)
Jonathan Edwards as Contemporary (Peter Lang)
写真帳