Last Update : November 23, 2002

LINEAR I 線形代数学 I

この授業を楽しんで下さった方へ


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November 23, 2002

感謝

この文章を読んで下さる方がいらっしゃると嬉しいですね。題名が、「この授業を楽しんで下さった方へ」ですから。

皆さんよく勉強して下さったと思います。しかし、やはり重要なのは、しっかり理解できているかです。期末試験をもう一度やり直してみるのはとても良い事だと思います。後になると忘れてしまいます。試験のあとが最善です。さらに、もう少しと思う人は、斎藤正彦の「線型代数入門」の第2章と第3章をじっくり読んでみて下さい。1章は必要なところだけもどって読む事にして、第2章から読むのが良いでしょう。そのあと、第1章そして、第4章へと進んで下さい。そのへんが、線形代数学IIで勉強する部分です。いつでも質問に来て下さい。冬休みの終わりまでに、2ー3ー1章を終わる事ができれば一番良いですね。自分はあまりよく分かっていないから基礎からもう一度勉強したいと思う人は、「アントンのやさしい線形代数」第1章から順に第3章まで読んで行って下さい。そしてあとは、線形代数学IIの進度にあわせて第4章を読むのが良いですね。

この授業はもちろん線形代数学IIへとつながり、そしてそれは、線形代数学IIIに続きます。線形代数学Iでは、行列と行列式、この二つを道具として連立一次方程式を考えました。どちらかというと、目に見える行列や連立一次方程式が対象でした。いろいろな重要な概念や定理が出て来ましたが、これをもっと有効に利用するために、数学で重要な抽象化をします。行列やベクトルではなく、それらを全体としてあつかい、線形空間というものを考え、その間の写像として線形写像(一次写像ともいいます)を考えます。実は、これらはまさに、行列やベクトルを考えることと同じであることが分かり、階数などの概念もはっきりと理解できるようになります。行列式がゼロでない事と線形写像が全単射で対応する空間を同じものと考えられるというようなことも分かります。線形代数は微分積分とならんで、数学を利用する上でもっとも有効な理論ですが、このような抽象化を通して、微分方程式を考えたり、多変数の関数の微分積分を考えたり、空間の幾何を考えたり、ある性質をもった関数の微分積分学をつくったりすることができます。また、代数学への発展の基礎ともなります。線形代数学IIIでは、固有値や固有空間という考え方を学び、行列を一番扱いやすい形に変えて調べる事ができるようになります。数学の素晴らしさ、美しさ、有用さを学ぶ事ができる絶好の機会です。是非、線形代数学IIも楽しんで下さい。ほんの少しですが、微分積分学IIでも、行列や行列式が出て来ますよ。

自然科学でも、社会科学でも線形代数学は重要です。社会科学でも特に外国の大学院で学ぼうとするとき、よく問題になるのは、日本で線形代数や微分積分を履修していない事です。まして、自然科学を学ぶ人が線形代数学Iだけでは足りないのは当然だと思います。しかし、理学科の必修は線形代数学Iまでです。ちょっとしんどいと言う人は、一応心の片隅においておいて、3年生や4年生になって再度チャレンジしてみて下さい。数学は勉強し、理解しないと美しさ、有用さを知る事ができないものです。みなさんのチャレンジを期待しています。


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