教授 加藤義臣


最近の研究活動

  1. 鱗翅目昆虫の緑色化の誘起に対する光照射の効果とそれに関与する色素物質に関する 研究
    昆虫の緑色は組織中での青色色素と黄色色素の混在によるものであり,視覚的捕 食者に対してカムフラージュの機能を持つものとみなされている.ある種の蛾や 蝶の体色や繭色では,青色色素の蓄積に光照射が必要であり,暗条件下ではその 蓄積が起こらず,黄色を呈する.今年度の実験において,天蚕の繭色に関して, 光照射により繭に蓄積する青色色素がまず血液中に出現することを,生体内およ び生体外条件下で初めて明らかにできた.これは,昆虫の着色機構において今ま で知られていない新しいシステムである.このことは1996年イタリアで開かれる 国際昆虫学会議で発表する予定である.

  2. 蝶の季節適応に関する研究
    1. キチョウの季節型反応とその地理的変異に関する研究
      キチョウ(Eurema hecabe L.)は現在,1種にまとめられているが,琉球列島沖縄 島には季節型反応が異なる2つのタイプ(温帯型と亜熱帯型)が生息し,しかも 両者は幼虫食性も異なる.さらに,両者はアロザイムパターンからみてかなりの 遺伝的差異を示し,生殖的にも隔離されている可能性が高い.これらのことを現 在論文に執筆中である.

    2. ジャコウアゲハの蛹休眠とその地域差に関する研究
      ジャコウアゲハは年に数回発生し,蛹で休眠することがよく知られているが,関 東地方のいくつかの地域の個体群での調査と実験から,本種は化性や休眠性の点 で異なる2つのグループ,すなわち山地性と平地性に分化していることが示唆さ れた.

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研究発表

  1. 山田弘生,加藤義臣:天蚕の繭色素について,日本野蚕学会第1回大会(東京),1995 年4月7日.

  2. 加藤義臣:キチョウ2系統の同所的分布:沖縄島産「温帯型系統」の起源について, 日本動物学会第66回大会(東京),1995年9月15−17日.

  3. 野村昌史,加藤義臣:本州および南西諸島のキチョウのアロザイム変異,日本動物学 会第66回大会(東京),1995年9月15−17日.

  4. 加藤義臣:キチョウにおける季節型反応と寄主利用の変異(シンポジウム),日本鱗翅 学会大会(小田原),1995年11月4日−5日.

  5. 加藤義臣:インドネシア・スラウエシ島産キチョウ属の生態,日本鱗翅学会大会(小 田原),1995年11月4日−5日.

  6. 加藤義臣:沖縄島産キチョウ2系統の食草適応,日本昆虫学会第33回関東支部大会 (東京),1995年12月3日.

  7. 加藤義臣:キチョウシリーズその3;宮古島のキチョウは何者か?,日本蝶類学会第 3回バタフライフォーラム(東京),1995年12月9日.

  8. 加藤義臣:ジャコウアゲハの化性と蛹休眠について,日本鱗翅学会‘96関東支部例 会(東京),1996年3月17日.

  9. 加藤義臣:ジャコウアゲハの蛹休眠誘起に対する温度と日長の影響,日本昆虫学会第 56回大会・第40回日本応用動物昆虫学会大会合同大会(山口),1996年3月27日−29日.

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著書・その他の出版物

  1. 加藤義臣,原田基弘:ミラクルファインダー:クルミシジミの大卵塊,Butterflies(10), 1-2.

  2. 加藤義臣:蝶の生命誌(1)黄色いアオスジハ,Butterflies(10), 54-56 (1995).

  3. 加藤義臣:蝶の生命誌(2)キチョウの季節,Butterflies(12), 59-61 (1995).

  4. 加藤義臣:蝶の季節学最近の知見,昆虫と自然,31(3), 14-20 (1996).

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学術団体における委員・役職

  1. 日本野蚕学会評議委員,1986−現在

  2. 日本蚕糸学雑誌編集委員,1988年−現在

  3. 国際野蚕学会理事,1988年−現在

  4. 中国瀋陽農業大学国際野蚕研修センター理事,1990年−現在

  5. International Journal of Wild Silkmoth and Silk, Editorial Member, 1993~present

  6. Butterflies,編集委員,1993年−現在

  7. 日本生物教育学会センター試験問題検討委員(在宅委員),1994年−現在


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