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留学レポート1:江田剛輝 研究報告 私は派遣期間中、米国マサチューセッツ州のウースター・ポリテクニック・インスティチュートの修士課程の一環として、エレクトロスピニング法によるポリスチレンナノファイバーの生成に関する研究を行いました。 エレクトロスピニング法とは高分子溶液に高電圧を加えることにより直径数マイクロメートルから数ナノメートルのファイバーを生成する技術です。この技術は、その容易さ、高い生産効率、コストパフォーマンスから注目を集めおり、高分子を扱った材料科学材料工学の分野では現在最も盛んに行われている研究のひとつです。エレクトロスピニング法によって生成されたファイバーはフィルタ、防護被服、センサー、生医学の分野ではドラッグ・デリバリー創傷被覆材としての応用が可能であり、一部の分野ではすでに実用化が始められています。 エレクトロスピニング法のさらなる実用化を実現させるためには、生成されるファイバーの直径、もしくはモルフォロジー(形態)を高い精度で制御することが必要とされています。しかし、ファイバーの形成プロセスは複雑であり、且つ溶液のジェットがコレクタ電極に到達する時間は200msから500ms(作動距離10cmの場合)と短く、その間に起こる現象を観察するのは困難です。この間に起こる様々な現象は得られるファイバーの形態を定する重要なプロセスでありその解は不可欠です。 私はポリスチレンを用いて、高分子溶液の特性とファイバー形成、ファイバーのモルフォロジーの関係を調べました。実験では主に走査型電子顕微鏡高速度カメラを用いました。高分子溶液の特性は溶液のレオロジー、電気特性、その他の特性とに分類できます。レオロジーとは溶液の粘弾性のことを指し、この特性は主に溶液に溶けている高分子の濃度、分子量、多分散性、高分子と溶媒分子の相互作用によってまります。電気特性ではこれまでに溶液の比誘電率と伝導率がファイバーの直径、均一性、スループット等に関係していることが他の研究者によって発表されています。その他の特性とは溶媒の気化熱、沸点、表面張力があげられ、ファイバーのモルフォロジーと強く関係していることが示唆されています。 シリンジから現れる溶液のジェット(噴流)は様々な段階を経て直径数ナノメートルから数マイクロメートルファイバーとなりますが、ファイバーの直径を大きく減少させるのは屈曲現象であると言われています。これは直線状のジェットが運ぶ電荷の反発力による不安定な現象であり、屈曲が起こると同時にジェットは引き伸ばされ、直径が減少します。溶液の電荷密度が高いほど多くの屈曲が起こり、その結果、ナノメートルオーダーのファイバーが生成されます。研究では、この屈曲現象の程度が溶媒の誘電率蒸発率に影響されることがわかりました。誘電率の高い溶媒を用いた場合、溶液中の高い電荷密度により、ジェットはシリンジ近傍で屈曲し、繊細なファイバーとなります。一方、蒸発率の高い溶媒が用いられた場合、高分子はシリンジ近傍で固体化し、ジェットの屈曲は緩かなため、直径の大きなファイバーが生成されます。 留学風景
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