| 「平和・安全・共生」研究教育の形成と展開
プロジェクト3:共生・教育・ジェンダー
事業推進担当者
藤田、田中、御巫、ワシレウスキー、千葉杲弘、その他の共同研究者
本プロジェクトは、グローバル化の進行と多民族・多文化社会の新たな展開という歴史的文脈を踏まえ、教育学、社会学、政治学、心理学、国際開発教育などの視点から、「多文化共生」の可能性を探求する。教育学、教育社会学、心理学などの見地から、「平和」、「安全」、「共生」についての概念・構えや文化的アイデンティティの形成と、「不安な社会」および「多元化社会」における平和教育、民主主義教育、国際理解教育、福祉教育のあり方などについて探求し、異文化コミュニケーション論の見地から、異民族間・異文化間の「共生」の問題を掘り下げ、さらに社会学や政治学の見地からジェンダー研究を推し進め、東アジアにおけるジェンダー研究のネットワークを構築・拡充していく予定である。
紛争後のアジア地域(アフガニスタンなど)において「和解と共生」を目的とする国際開発教育の展開、さらには人間の安全保障の見地からジェンダー問題の掘り下げ、コミュニケーション論の見地からの参加型の「構造対話」アプローチの展開など、種々の課題が追究されるが、いずれのアプローチも、グローバルな展望の下に「多文化共生」および市民教育という視座に基づいて展開されていく。
特別共同研究プロジェクト:ワシントン州立大学(WSU)との共同研究
WSUとの研究教育の交流は、両大学の制度的提携に基づく広範に及ぶ研究教育の交流である。「平和、安全、共生」に関するグランド・セオリーの構築、これら三概念に関する日米両国での世論調査など、多様な分野で共同研究がなされる予定である。
2 グランド・セオリーと具体的政策提言
上記の三つのプロジェクトを統合するグランド・セオリーの構築、およびそれに基づく具体的な政策提言は、本「広域平和研究」の中心的な理論的かつ実践的課題である。その場合、グランド・セオリーの中核を担う理念は「人間の安全保障」(human
security)であり、村上陽一郎の提唱する「安全学」(Anzengaku)、さらには「共生」(conviviality)である。「人間の安全保障」とは、人間として尊厳をもって創造的人生を送ることのできるように、政策を基軸とした上からの行政的アプローチと、人々のコミュニティ形成という下からのアプローチを接合することによって、個々の人間の安全な生活の基本的諸条件を万人に保障しようとする理念である。
また「安全学」とは、科学技術、環境、医療、食糧など、多次元に及ぶ「安全」確保の提起する問題を、学際的に考察していく新たな方法論および新たな学問分野の提唱である。さらに「共生」とは、自他の存在への共感と歓びに基づき、自他の自律性・独自性と相互承認を前提とする共存共生の仕組みおよび叡知である。
環境問題、国際テロ、反テロ戦争の脅威、民族紛争や難民問題、貧困や飢餓問題、麻薬やエイズ問題など、多重の脅威に曝された「不安な社会」、「不安な世界」であるが、「人間の安全保障」と「共生」とは、それらの多重の脅威や不安と地道に取り組む上での鍵概念として重要なものとなってきた。そうした現代の問題状況を踏まえ、上記の「人間の安全保障」と「安全学」という理論的視点に立ち、「平和」、「安全」、「共生」という三つの鍵概念を基軸として、「広域平和研究」のグランド・セオリーを追究し、同時に具体的な政策提言を行っていきたい。
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