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Dec. 07
9.地球温暖化と企業戦略
鈴木政史 国際大国際経営学科専任講師
<報告要旨> 本報告はポスト京都に向けた企業戦略の動向を取り上げる。まず、国・地域ごとにどのような政策バリエーションが存在し、各政策バリエーションに対する各国の企業の見解をまとめる。政策バリエーションに関しては、特に1) CDM (Clean Development Mechanism)/JI (Joint Implementation),
2) 国内排出権取引制度、3)炭素税、4)自主的削減計画、5)セクトラル・アプローチを取り上げる。各国の企業に関しては鉄鋼業界を例に、日本、欧州、米国、韓国の企業の見解の相違点を提示する。これら4ヵ国の異なった規制及び規制文化が存在する中で、企業の温暖化戦略は収斂する方向に向かうのか。それとも乖離する方向に向かうのか。企業組織論の理論を簡単に紹介しながら解説を行いたい。
<全体討論>
碓氷 ありがとうございました。ちょっとだけ簡単なコメントをさせていただいて、会場から質問をいただくことにしたい。産業と環境問題についてCDMおよび鉄鋼産業から考えるという発表だったが、少しもの足りないと感じたのが、アメリカの国内の状況があまり伝わらなかった点だ。この点については、後ほどコメントを頂きたいと思う。また企業を比較するときに、鉄鋼内で比較して収斂の要因をあげ理論的な分析を行なっていたが、各国の産業文化まで踏み込むと面白いのではないか。また、鉄鋼産業におけるテクニカル・スピル・オーバーについては、CO2排出抑制技術普及の時間的パターンの国毎の違いの要因に触れていただけるともっと興味深い話になると思った。
石井 ひとつだけコメントをしたい。碓氷先生と基本的に同じ考えだが、今日のお話を伺って、ODAの議論と同じ問題が立ちふさがるのでは、と感じた。それぞれの企業がどれだけの成果をあげたのかについての評価基準の問題だ。国際的にどのような評価基準をつくるのか、ポイント制にするといった点も含め、研究していただきたいと思う。評価基準をつくることで、より多くの人の環境に対する認識が深まるのではないか。
中丸 鉄鋼において日本は技術的にすすんでいるが、規制の導入には反対しているというお話だった。自動車の排ガス規制の例もあるように、自主規制だけよりも規制をいれたほうがいいことがある。この点について、学問的に提言してもいいのではないか。
本橋 鉄鋼業界がCO2を減らし目標を達成しようとする、この動きとWTOルールとの整合性はどうなるのか。アメリカの各州でも排出権取引を導入するといわれているが、それを導入しない日本製品に高い関税が課されることも考えられるのだろうか。産業別の規制について評価されていたが、産業別になると途上国への技術移転が抜け落ちてしまって、反発が強まるのではないかという疑問があるが、如何か。
鈴木 時間も限られているので手短にお答えしたい。ひとつめのご質問だが、国ごとの環境インデックスと同じようなポイント制の可能性はあると思う。二番目のご質問だが、京都議定書は日本の大企業にとってもヨーロッパの企業にとっても良かった面がある。ご指摘の点をまとめると面白いかもしれない。最後のご質問だが、鉄についてもヨーロッパでつくらないでブラジルで作るという動きがある。EU ETSのような規制もないといった理由に基づくものだが、これは懸念すべき傾向だと思う。産業別となると途上国の反発は避けられないと考えている。
(司会:碓氷 尊 記録:久保田有香)