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Dec. 07
8. ポスト京都 ― バリ島COP13に出席して
蟹江憲史 東工大社会理工学研究科准教授、UNU高等研客員教授
<報告要旨> 京都議定書第1約束期間後の2013年以降の気候変動をめぐる国際制度枠組論議は、京都議定書3条9項に「公式な」交渉開始期限と規定された2005年以降活発に行われ、COP13/MOP3での「バリロードマップ」及び京都議定書の下でのAWGによって2009年までに交渉が行われることが明らかになった。他方、G8やAPEC、ASEAN+3といった政治フォーラムでも気候変動が話題となっている。本報告では、今後の気候変動将来制度枠組のあり方を模索する。
<全体討論>
碓氷 ありがとうございました。体系的なコメントをする時間はないが、少しだけ気づいた点を加えたい。6月のG8の際の報道で、英国のブレア首相の電話が功を奏してアメリカが新たな目標にのってきそうだという社説があった。やはり決めては、アメリカの動きだと思う。この点についてお考えがあれば伺いたい。またAWGについて京都とは別のトラックということだが、性格がわからなかった。オフィシャルなCOPをトラック1とすると、トラック1.5といった感じなのだろうか。どんな人が参加し、権限を持っているのか、教えていただきたい。数値目標に関してだが、数値だけでなく法律に対する考え方において、日米欧で違うのではないか。アメリカは法律をつくったら絶対に守る、なのでなかなかコミットできないということもあると思う。最後に、数値目標だけを設定し、やり方は自由に、とすればノン・コンプライアンスが増えるだろうが、そのようなときにセクターアプローチは、責任の所在がはっきりしてひとつの目標を達成する足しになるのではと感じている。その点について、どうお考えか。
高橋 まずコメントだが、今日のお話を伺って、日本はかなり良くやったのではないかという印象を持った。バリ・プロセスだけを見た場合には見えてこないが、トータルなロードマップをみれば、アメリカを載せるために日本があえて自国の評価を落としたということが、わかる人にはわかるのではないだろうか。日本の役割があってこそ、2トラックという構造をうまく使えたという評価も出来るのではないか。質問だが、ご報告ではバリにおける市民社会の役割が見えてなかった。市民社会の役割について現場でどう感じられたか、ご報告いただければと思う。
功刀 最後の点は、私も同感だ。ぜひお話いただきたい点だ。ご報告ではアメリカは温暖化を身近に感じてないと指摘されたが、アメリカでも人々は州レベルなどで動き出しており、政治的プレッシャーが高まっている。一般との乖離をいかに是正できるか、そこが問題になっているのではないか。質問だが、京都以外の枠組みにおける自主的な動きが、今後の流れを変えていくのではないかと考えている。この点についてお考えを伺いたい。また鈴木先生との関連でいえば、鉄鋼で起こったことが他の分野にも教訓と成り得るのだろうか。この点をリンクさせていただけると面白いと感じた。
石井 最初に碓氷先生がご指摘された質問に集約されるのでは、と感じた。京都議定書の弱点は、アメリカや途上国を引きずりこめなかったところにある。この点について、現場でどのような感想を持たれたのか、伺いたい。
水口 国際会議の場で、日本が今後参考にすべきグッドプラクティスがあったら、ぜひ教えていただきたい。
蟹江 アメリカについてCOPに行く前から感じたのは、キャップ・アンド・トレードへの関心が高まっていることだった。いずれにせよ時間の問題で、近いうちに出来るだろうというのが共通の見解だった。他方で、ブッシュの主要排出国会合だが、こちらではセクター別のアプローチが話し合われたが、足りなかったのは目標に関する話が抜け落ちていた点だ。目標だけではフリーライダーを生んで、実効的な対策ができないと思うが、セクター別のアプローチだけでも引き上げるインセンティブがないと思う。ある程度のプレッシャーや目標は必要で、両方のアプローチをいかに組み合わせるかが重要ではないか。この点で、功刀先生のおっしゃった京都外の取組みとうまくリンクしていくのが必要だと思う。具体的な行動については、セクター別やAPP(アジア太平洋パートナーシップ)などの枠組みで、出来ることをやりながら途上国を引き込んでいくという流れが妥当だと考えている。
最近の傾向としてアメリカとEUが主になって、途上国の取り込みをしていることを感じている。それぞれ自分の陣営にひきつけるということで、エネルギー温暖化の世界で、縄張り争いが起きている。アメリカはエネルギーからみたアプローチ、ヨーロッパは温暖化からみたアプローチだが、ファンドをつくるなど色々な手段を使い、その過程で自国の技術を使う流れを作りながら、途上国を巻き込んでいる。ただアメリカについては、感触だが、大統領が変った場合、数値目標を飲むと考える人の割合が増えてきたと思う。
法制度文化の話しだが、日本の経団連の行動計画を、ヨーロッパのそれと同列には論ずることはできないだろう。アプローチの仕方が違うことに考慮しなくてはいかない点はある。
バリにおける市民社会の役割だが、サイド・イベントは盛んだったが、会議場が離れていることもあってか、メイン会場とリンクがされていなかったように思う。途上国のNGOはアクティブだったが、キャパシティ的に低いこともあり、ちょっと空回りという印象もあった。ただメディアも含め、最終日の前に日本やカナダやアメリカを批判する広告をだすなど関心はあったと思う。ただあまり交渉の場面では動きは見えてこなかった。
鉄の教訓が、他分野にどこまで生かせるかという点については、鈴木さんからご回答いただきたい。
鈴木 電力が一番大きい分野だと思うが、鉄とセメントをみても同じところもあれば違うところもある。今後、まとめてみたいとは思う。
蟹江 セクター別のアプローチといっても、例えばインドネシアは強いセクターもない。この場合は、ポリシー&メジャーズで、先進国の支援をうけて政策を導入するといったことが考えられるが、このような対応が合っている国もあるだろう。国の性格によって、対応が選べるという点も重要だ。グッドプラクティスについては、CSDでよく出てきていると思う。
碓氷 洞爺湖サミットで日本は環境に関して何を提案すべきか。
蟹江 難しい話だが、外務省の委員会で取り組んでいる適応(アダプテーション)に関するガイドラインの最終案を洞爺湖で出すという話がある。外務省の一部だが、数値目標をめぐる議論に貢献できるような何かを出したいという話もある。
(司会:碓氷尊 記録:久保田有香)