国連改革と核軍縮 日本の創造的”攻めの”外交

 

神余隆博

外務省国際社会協力部長

 

<報告レジュメ>

 

1.日本にとって国連とは何か

              (1)誰が国連を必要としているのか

              (2)国連改革の意味

2.2005年の安保理改革の意味するところ

3.安保理改革の展望 − 時は日本に味方するか

4.その他の国連改革

5.分担率交渉

6.核軍縮と日本 − 「題二次核時代」をどう生きるか

              (1)核をもてあそぶ時代

              (2)拡散対応だけでよいのか

              (3)日本と国連の役割

              (4)日本核武装論批判

7.日本はいかなる国を目指すのか

 

 

<全体討論>

 

吉岡

政府としての具体的な核軍縮戦略について伺いたい。

高橋

国の意思決定のプロセスには色々な力学が働くと同時にオピニオン形成も激変している。G5の一部をG4にとりこむ、コンセンサスグループを切りくずすといった作業をやる場合、いわゆる専門家・学者の連合体の意見形成が非常に大事になってくる。G4+カナダなど一部の国の専門家や学者を集めてで会合を開き、ネットなども利用しながら世界の世論を作り方向を作っていく。これが現時点での創造的攻めの外交の手法として有効かつコストも安いのではないか。

中村

安保理改革および国連改革について、たとえ成果が得られなくても一生懸命やるんだといった風に考えておられるのか。

神余

結果を出す必要はあるが、自分で自分の首をしめる結果をだす必要はない。長期にわたる試みだということを国民に納得してもらう必要があるが、政治の世界の時間のスパンは短い。この点を役人としてどう説明し調整するのか。政治の力も必要だ。極端な言い方をすれば、戦争でも起こらないと変わらないようなシステムを平和裏に変えようとしているのであって、結論は段階的にしかでないということを国民に理解してもらわなくてはならないだろう。

核軍縮の戦略だが、去年のNPTレビュー会議では何の結論もでなかったが、日本は21の戦略という具体的な核戦略をだした。これは非常によいことを書いているが、実現していない。まだまだ息の長い話だ。本当に意味のある削減は、今世紀の中ごろだろう。日本は、核不拡散だけでなく軍縮にも長い間取り組んでいる。また核を廃絶するという決議案をずっと出し続けている。日本外交はこれでやってくしかない。日本が一生懸命やっている姿は、かならず訴える。

平和構築委員会は必要だが、予防と平和構築、紛争の平和的解決といった視点が欠けているのではないか。日本は、ピースメーキングに積極的に関わっていくべきだと思う。

日本のパブリック外交はがかなり下手だと思うが、政府だけでは駄目で、学者の先生方の間でも率直な意見交換を通じて動いていただきたい。ある種の役割分担は、今後の国家的なプロジェクトにますます必要になってくるだろう。

功刀

去年のパブリック・フォーラムのような試みを今後も続けることで支持基盤も広がるだろう。トヨタも最近は、ビジュアライゼーションを重視している。日本の21ポイントの核戦略も見えていないのが残念だ。安保理改革についてだが、分担金に関する主張などやり方がうまくないのではないか。それよりも平和憲法をもっている国として、分担金をもっと出すという話のほうがよかったのではないか。さらに言えば、平和構築や平和創造においてどう貢献するかのほうがより重要ではないか。

上杉

安保理改革に関して、コソボなどの問題などで安保理の正統性が崩れているとした場合、日本は安保理における正統性についてどう考えているのか。正統性と実効性をどう高めていくのか。また核軍縮だが、日本は一番の同盟国として米国にどう働きかけるのか。

吉岡

国民に息の長いビジョンを示すことが必要ではないか。政治をやっている側が、国民に対してあらゆる期待を持たせてしまったという側面もあると思う。平和構築委員会については、当初の紛争予防面での期待にこたえられなくなったというフラストレーションがある。

神余

平和構築委員会は平和予防もやるべきだろうとは思う。核軍縮に関して日本は絶対に言い続けなくてはならない。誰が悪いというのではなく、人類の問題として言い続ける義務がある点では、政府も民間も同じだろう。上杉先生のご質問だが、アメリカに対しても日本は、いかなる核であっても認めてはならない。日本の核武装については、アメリカ人が試して言っているところがあるが、これはたしなめないといけない。これは日本人の義務だ。安保理改革だが、正統性がくずれていることについて我々以上に気づいているのが米英だ。ここを追い込んでいく議論ができればと思っている。国連における加盟国の義務は、兵隊をだすのか、お金か、という二者択一ではない。日本は今はどちらもだしているし、外交上、最も効果的な手段を選ぶということだ。日本の国益の実現においては制限された手段をもたないことが一番いいが、今のままでも参加できるPKOはある。どこまでやるかというのは政治的判断の問題だと考えている。

 

(司会:功刀達朗  記録:久保田有香)