パートナーシップの構築

ILOを中心とした国際機構における労働組合の役割

中嶋 滋





事前に準備された配布資料をもとに報告がなされた。

全体討論

■HIV/AIDSへの対応
・医薬品に関わる諸課題には、世論の関心も高い。しかし、HIV/AIDSに関する中核的課題が、若手男性労働者へのHIV/AIDS予防・衛生教育であることへの理解は、未だに十分ではない。たとえば、アフリカでも医薬品へのアクセスが大幅に改善され、女性へのHIV/AIDS予防・衛生教育も一定の成果をあげつつあるが、これらのアプローチだけでは不十分である。現在、労働セクターにおいては、アフリカの若手労働者との間に信頼関係を有する労働組合を通じて、職場でのHIV/AIDS研修が進められている。
・HIV/AIDSは、確かにトラフィッキングならびに性産業の対象となる貧困層の少女などに大いに関わっているが、「低所得国」の中・上流階層に根深い問題という側面もあり、HIV/AIDSを単純に「貧困問題」ととらえることは適切ではない。
・いずれにせよ、HIV/AIDS人口の把握には、検査が不可欠である。ただし、ポジティブと判定された人々に、医薬品の継続的な提供を確約する政策がなければ、実態は決して統計上にはあらわれない。なお、今後の課題には、移民労働者への検査や医薬品の提供体制をいかに構築するかという点も含まれよう。

■パートナーシップ
・生協は、「職域生協」と「地域生協」から構成されている。労働組合との関係においては、みずからが主体ではない地域生協との連携が、確かに希薄であった。今後、地域レベルでの取り組みを強化するには、そうした労働組合と地域生協とのパートナーシップも展開すべきであろう。ただし、生協のそのような「区分」自体が硬直した行政の産物でもあり、労働組合、生協、行政の新たな関係性そのものも、これからの検討課題になる。
・長い歴史を有する労働組合運動と新興勢力であるNGOとの間には、組織運営形態、活動の観点等に大きな相違がみられる。しかし、最近、日本においては、ミレニアム開発目標を念頭に、政府間の国際協力にて十分に配慮されていない開発の諸問題に協調してあたる「フォーラム」の創設を、連合とJANICが進めている。

■グローバル・ガバナンス
・国家主権を前提にした既存の国際社会の枠組みで、真に正当で実効性のあるグローバルな規制が形成されうるのかという問題がある。また、そうしたグローバルな規制がかりに生み出され、国内法による裏づけがなされたとしても、現実にどれだけのことが実施されるのかという疑念も、フィールドにおいては実感される。
・グローバリゼーションに対処するため、グローバルな社会政策を練り上げる仕組みづくりが必要である。とりわけ機能主義に立脚してきた国連システムの専門機関にとっては、主体・課題等の多様化、相対化が進むなかで、運営メンバーや事業内容のあり方などの大幅な見直しが求められ、ひいては組織としてのアイデンティティを再構築することも重要な課題となろう。

(記録 谷村光浩)