国連システムにおける評価とパートナーシップ

久山純弘





■報告要旨

    ・ 国連と非政府アクターとのパートナーシップは、プロジェクト・パートナーシップならびに戦略的なグローバル・パートナーシップの両義において、非常に重視されている。ミレニアム開発目標においても、パートナーシップはひとつの柱に位置づけられている。
    ・ 国連ではパートナーシップ・オフィスを軸に事業展開をはかっているが、今後の課題としては、優れた事例のより体系的な共有化、パートナーシップ手法や指針の開発などを推進する必要がある。
    ・ 評価とパートナーシップの双方に関わるキーワードは、結果重視のマネジメント(Results-based Management: RBM)である。ここで結果(results)とは、個々の事業活動の産物(outputs)ではなく、事業を通じていかなるoutcomesないしimpactが生じるかが焦点となる。したがって、RBMとは、事業の実施を通してoutcomesないしimpactがもたらされるように事業活動をマネージしていくことを意味し、その場合、優れた事例に関する知識の共有化(knowledge sharing)も重要な要素となる。
    ・ さらに、こうしたパートナーシップ事業による結果の評価とともに、パートナーシップという方法論の評価(特定のパートナーシップ戦略そのものが妥当であったのかという評価)も、より効果的なシナジーを模索するうえで、きわめて重要な視座と認識されている。
    ・ 最後に、評価時のパートナーシップも、DACや世界銀行において、大いに議論されるようになってきた。国際機関による単独の評価ではなく、事業をともに展開してきたパートナーによる共同評価が試みられはじめている。

    * 配付資料(次の資料から抜粋)
    “Enhanced Cooperation between the UN and All Relevant Partners,”Report of the UN Secretary-General (13 August 2003).
    “Guidelines for Outcome Evaluators,”Monitoring and Evaluation Companion Series #1, UNDP 2001.
    “Partnering for Results - Assessing the Impact of Inter-Sectoral Partnering” 1999 (Prepared for USAID by the Academy for International Development).


■全体討論

    ・ 国連システムで評価が重視され始めた70年代当初は、「政策への適切さ(policy relevance)」と「有効性(effectiveness)」を視野に入れた議論であったが、アメリカにおける行財政改革を背景に、しだいにビジネス界のロジックである「効率性(efficiency)」が組み込まれるようになってきた。
    ・ 参加型開発が重要であると言うのなら、事業評価もパートナーシップで実施すべきとの考え方は当然であり、今後このような動きが加速すると予測される。
    ・ 具体的な事業活動を評価することは比較的容易であろうが、政策形成・評価となると、高度に政治的であり、難しさの次元が異なるであろう。ただ、事業活動の評価においても、期待される結果(results/outcomes)に着目すれば、単にオペレーション上のことではなく、かなり規範的な領域に踏み込んだ話にもなろう。
    ・ JICAのパートナーシップ評価については、内部評価に限定せずに、第三者による外部評価の受け入れも検討すべきであろう。また、プロジェクトの成果を評価すると記されているが、これが「outputs」なのか「outcomes」であるのかが明確ではない。
    ・ 日本においても、結果重視のパートナーシップをもっと意識すべきであろう。しかし、同時に、短期間に(達成可能な)結果を出せばよいという短絡的な発想に陥る危険性も看過できない。手続上および配分の公正が、ともに満たされなければならない。さらには、文化的な価値など、経済的な価値では計測できないものを、いかに取り扱うのかという課題も残されよう。